Abstract / Introduction / Summary:
アジ科ギンガメアジ属 Caranx は側線直走部に 稜鱗を有すること,第 1 鰓弓上の鰓耙数が 20–31 であること,背鰭および臀鰭が糸状に伸長しない こと,背鰭および臀鰭に付随した小離鰭がないこ と,脂瞼の前半部は薄く,半月形に開口すること, 肩帯下部に突起がなく,滑らかであること,上顎 の外側に牙状の円錐歯が 1 列に並び,内側に小円 錐歯が帯状に密生すること,下顎に牙状の円錐歯 が 1 列に並ぶこと,鋤骨および口蓋骨に歯を有す るなどの特徴をもち(Gushiken, 1983; Smith-Vaniz, 1999; Lin and Shao, 1999),日本からはイトウオニ ヒラアジ C. heberi (Bennett, 1830),ロウニンアジ C. ignobilis (Forsskål, 1775), カ ッ ポ レ C. lugubris Poey, 1860, カ ス ミ ア ジ C. melampygus Cuvier, 1833, オ ニ ヒ ラ ア ジ C. papuensis Alleyne and Macleay, 1877,ギンガメアジ C. sexfasciatus Quoy and Gaimard, 1825,およびミナミギンガメアジ C. tille Cuvier, 1833 の 7 種が知られている(瀬能, 2013). カッポレはこれまで国内において,小笠原諸 島,駿河湾,三重県,宮崎県および沖縄県から記 録されていた(瀬能,2013).2015 年 2 月 24 日 にトカラ列島北方沖で 1 個体のカッポレが採集さ れた.本標本は鹿児島県ならびに薩南諸島におけ る本種の標本に基づく初めての記録となるため, ここに報告する.