Abstract / Introduction / Summary:
近年の屋久島におけるテンジクダイ科魚類相 の報告は著者らによって行われている.吉田・本 村(2009)は分布の北限記録を更新したアマミイ シモチ Fibramia amboinensis (Bleeker, 1853) を同島 から報告し,Yoshida et al. (2010) は過去の報告を まとめ,屋久島周辺海域には本科魚類 45 種が分 布するとした.その内訳は 28 種が標本に基づく 記録,14 種が水中写真に基づく記録,3 種が過去 の文献のみの報告である.吉田ほか(2011)では 標本に基づく屋久島初記録として 7 種の追加報告 を 行 っ た. そ の う ち ヒ ト ス ジ イ シ モ チ Pris- tiapogon fraenatus (Valenciennes, 1832) とカスリイ シモチ P. kallopterus (Bleeker, 1856) は水中写真に のみ基づく記録であった(吉田ほか,2011). 2014 年 12 月 25 日から 28 日にかけて屋久島で 行った魚類相調査で,屋久島初記録のテンジクダ イ科魚類が 3 種採集されたため,ここに報告する. そのうちウスジマイシモチOstorhinchus angustatus (Smith & Radcliffe, 1911) と ヤ ミ テ ン ジ ク ダ イ Apogon semiornatus Peters, 1876 は水中写真に基づ く報告のみ(Yoshida et al., 2010)であったが,本 報告はこれら 2 種の標本に基づく屋久島初記録と なる. 本研究により屋久島周辺海域には 51 種が分布 することが判明した.その内訳は,標本に基づく 39 種,水中写真に基づく 9 種,過去の報告のみ(市 川ほか,1992;国安,1999)で水中観察によって 確認された 3 種である.