Abstract / Introduction / Summary:
サバ科 Scombridae は世界で 15 属 49 種が知ら れており(Collette and Nauen, 1983),日本近海に は 11 属 21 種が分布する(中坊・土居内,2013). サワラ属 Scomberomorus は世界で 18 種が有効種 と し て 認 め ら れ て お り(Collette and Nauen, 1983),そのうち,日本からはヨコシマサワラ S. commerson,タイワンサワラ S. guttatus,ヒラサ ワラ S. koreanus,サワラ S. niphonius,ウシサワ ラ S. sinensis の 5 種が知られている(中坊・土居内, 2013).Scomberomorus commerson は Lacepéde (1800) によって Scomber commerson として新種記 載された.Kishinouye(1923)は山口県北岸から, 日本における本種の標本に基づく初めての記録を 報告し,同時に本種に対して和名ヨコシマサワラ を提唱した. 現在,ヨコシマサワラはインド・西太平洋,紅 海および地中海の熱帯・亜熱帯域に分布すること が 知 ら れ(Kishinouye, 1923; Collette and Nauen, 1983; Dor, 1984; Collette and Russo, 1984; Moshin and Ambak, 1996; Carpenter et al., 1997; Collette, 2001; Kimura et al., 2003; Kim et al., 2005; Kimura, 2009; Kimura, 2011; Kimura, 2013),国内からはこ れまで新潟県佐渡島周辺,山口県北岸,長崎県生 月島と琉球列島から標本に基づいて報告されてい る(Kishinouye, 1923;加藤,1956;道津・冨山, 1967;吉野ほか,1975;中坊・土居内,2013). 2010 年 12 月 30 日に鹿児島県南さつま市笠沙町 沖で,ヨコシマサワラと同定される 1 個体が採集 された.本標本は鹿児島県におけるヨコシマサワ ラの標本に基づく初めての記録となるため,ここ に報告する.