Abstract / Introduction / Summary:
テンジクダイ科(Apogonidae)は世界で約 23 属 273 種(Nelson, 2006),日本国内からは 18 属 96 種 が 知 ら れ て い る(Matsuura and Tachikawa, 1994;林 , 2000, 2004;Mabuchi et al., 2003, 2004; 吉 郷・ 吉 野,2004; 宮 原 ほ か,2005;Greenfield et al., 2005;渋川ほか,2007;Fraser, 2008;Fraser and Allen, 2010;Yoshida et al., 2010). 屋久島におけるテンジクダイ科魚類の報告は Jordan and Starks(1906: Amia notata として)が報 告した Apogon notatus が初めてである.その後, 新井・井田(1975)は屋久島の北西に位置する楠 川にて採集された標本に基づき 2 属 4 種を報告し た.市川ほか(1992)は水中観察によって確認さ れた 3 属 10 種を報告したが具体的な地名などは 記載されなかった.国安(1999)は屋久島の南西 に位置する栗生にて水中観察によって確認された 2 属 12 種を報告した.吉田・本村(2009)は安 房川で採集されたアマミイシモチ A. amboinensis Bleeker, 1853 を 報 告 し た.Yoshida et al.(2010) は過去の報告をまとめ標本と水中写真に基づき, 屋久島周辺海域には 11 属 45 種が分布するとした. 今回,千葉県立中央博物館分館・海の博物館 における標本調査で屋久島初記録のテンジクダイ 科魚類の標本が新たに 7 種見つかったため,追加 報告する.そのうちヒトスジイシモチ Apogon fraenatus Valenciennes, 1832 とカスリイシモチ A. kallopterus Bleeker, 1856 は水中写真に基づく報告 のみ(Yoshida et al., 2010)であったが,標本に基 づく屋久島初記録となる. 本研究により屋久島周辺海域には 13 属 50 種 が分布することが判明した.その内訳は,標本に 基づく 36 種,水中写真に基づく 11 種,過去の報 告のみ(市川ほか,1992;国安,1999)で水中観 察によって確認された 3 種である.