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鹿児島湾河口・干潟における二枚貝相の調査

内田里那・藤田めぐみ・冨山清升

Abstract / Introduction / Summary:

鹿児島湾流入河川の二枚貝類の動物相につい て,愛宕川など一部の河川の貝類相については詳 細な調査は行われているが(江川・坂下,2003; 鹿児島県環境生活部環境保護課,2003),それ以 外の河川については今までほとんど研究例がな い.そのため,本研究では 76 本の流入河川のう ち 30 河川の河口・干潟を調査地とし,各河川の 二枚貝類の動物相を明確にすることを目的とし た. 河口及び河口干潟,河口周辺の干潟は,淡水 と海水が混じりあう汽水域である.汽水域に生息 する二枚貝のデータは,調査が困難なため不足し ているのが現状である.また汽水域は,人的活動 の影響を受けやすく,護岸工事や埋め立てなどの 開発が行われやすい.よって,現在汽水域に生息 する生物の多様性は失われつつある. 本研究ではまた,鹿児島県レッドデータブッ ク(鹿児島県環境生活部環境保護課,2003),環 境省レッドデータ(環境省,2008),及び WWF Japan(和田ほか,2000)のカテゴリーを用いて 各採集種を評価し,絶滅危惧種の有無及びその分 布など,鹿児島湾流入河川における汽水域の二枚 貝類の動物相の全体像を把握することを目的とし た.