リュウキュウマユミ(Euonymus lutchuensis T. Itô)はニシキギ科の樹高 2–4 m の常緑低木で, 琉球列島を中心に分布する日本固有種である(初 島,1975).鹿児島県では島嶼部では沖永良部島, 徳之島,トカラ列島中之島,黒島,屋久島にて標 本が採取され,その標本は鹿児島大学総合研究博 物館植物標本室(KAG)や鹿児島県立博物館 (KAP)に多数収蔵されている.奄美大島にも分 布記録はあるが(琉球の植物研究グループ,2018 onward),著者ら自身は自生状況や証拠標本はま だ確認していない.九州本土における分布につい ては,初島(1975)は「赤生木,川邊,伊集院, 東市來,串木野」,初島(2004)は「大浦,東市来, 冠岳」を挙げているが,標本については 1 点, 1936 年 12 月 28 日に内藤喬によって採集された 「薩摩 冠岳」の標本(KAG009673)が確認される のみで,この冠岳が本種の分布北限となっていた. 著者らは 2020 年 10 月 11–13 日に実施した下甑 島の植物相調査で,口岳と青瀬岳に連なる尾根の 東側に位置する谷で,リュウキュウマユミの生育 を確認し,標本を得た.リュウキュウマユミは常 緑であること,若枝が緑色で無毛で 4 稜があるこ と,葉が披心形ないし狭卵形で国内に分布する同 属の近縁種と比べて長さ 2–9 cm,幅 0.7–3 cm と 小型であること(立石,2016)などから,花や果 実がなくとも容易に識別できる種である.今回の 発見はリュウキュウマユミの分布北限を更新する 点と,甑島の植物相が南方系要素を含む証左を示 す点で注目に値するため,ここに報告する.

リュウキュウマユミを下甑島に記録する(田金秀一郎・山崎海都)