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‘ 生きている化石 ’ ガクバンゴウナ科貝類の南九州での記録

三浦知之

Abstract / Introduction / Summary:

Warén (2013) はガクバンゴウナ科貝類を約 3.5 億年前の古生代石炭紀に化石が見つかる巻き貝の グループとして ‘ 生きている化石 living fossils’ の 一つに、本科を含めた.従来,トウガタガイ科貝 類などとともに異旋類としてグルーピングされて いたが,遺伝子解析の進展とともに現在では系統 的に遠いグループとして位置づけられている (Brenzinger et al., 2014).また,小型で採集記録 が少ないこともあって,その餌や生息環境は未解 明とされている(Warén, 2013).筆者は宮崎市一 ツ葉入り江で 2007 年の冬にイリエゴウナを採集 し,以後,同定の難しい本科貝類について採集と 情報収集を進めてきた.本科の生態を明らかにす るためには生体の採集記録が不可欠であり,南九 州では遭遇する機会も多いので,得られた種を紹 介するとともに,今後の新しい研究の発展につな がることを祈りたい. なお,本研究に使用した標本は,宮崎県総合 博物館に保管登録する予定である.