ヨウジウオ科チンヨウジウオ属 Bulbonaricus は,躯幹部と尾部の上隆起線が連続する,躯幹部 と尾部の下隆起線が連続する,躯幹輪数が 15– 18,尾輪数が 57–64,尾鰭軟条数が 10,変態後の 成魚では額骨に上縁が円滑または鋸歯上の棘状ま たは板状の突起をもつこと,吻が著しく短いこと, 口が下位で唇が厚いこと,および胸鰭,背鰭,お よ び 臀 鰭 を 欠 く こ と か ら 特 徴 づ け ら れ る (Dawson, 1984;鈴木ほか,2002).本属魚類は世 界で 3 有効種が知られており(Dawson, 1984), 日本からはチンヨウジウオ Bulbonaricus brauni (Dawson and Allen, 1978) とシューヤジリチンヨウ ジウオ Bulbonaricus davaoensis (Herald, 1953) の 2 種が記録されている(瀬能,2013;Araki et al., 2020).シューヤジリチンヨウジウオは国内から はこれまでに奄美群島沖永良部島と小笠原諸島父 島からのみ記録されており,前者が分布の北限と されていた. 今回,鹿児島県の大隅諸島屋久島において撮 影されたチンヨウジウオ属の水中写真 2 枚が シューヤジリチンヨウジウオに同定された.これ らの写真は本種の分布の北限更新記録となるた め,ここに報告する.

屋久島で撮影された水中写真に基づくシューヤジリチンヨウジウオ (ヨウジウオ科:チンヨウジウオ属)の北限記録(荒木萌里・高久至・本村浩之)