/ 047-018

八代海南部から得られた南限記録のシラウオ

是枝伶旺・中川龍一・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

シラウオ科 Salangidae は,シラス型の細長く半 透明な体をもち,幼形成熟する特徴的な魚類群で ある(沖山,2014;隼野,2014).本科魚類は東 アジアに分布し(Roberts, 1984;隼野,2014), 国内においては 4 属 4 種が知られる(猿渡, 2018;本村,2020). 2020 年 3 月に,八代海南部に流入する鹿児島 県出水市の高尾野川から 2 個体のシラウオが採集 された.シラウオの分布域はロシア極東部から朝 鮮半島西岸までと,熊本県以北の日本であり(細 谷,2013;隼野,2014),これまで鹿児島県から の記録はなかった.したがって,本研究はシラウ オの分布南限を記録するものであり,鹿児島県の 生物多様性の評価およびシラウオの八代海におけ る個体群保全に有益と考えられるため,ここに報 告する.