/ 046-104

鹿児島県薩摩半島の鹿児島湾に注ぐ小河川から得られた準絶滅危惧種ルリヨシノボリ

赤池貴大・古𣘺龍星・是枝伶旺・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ヨシノボリ属Rhinogobius Gill, 1859は河川や湖沼に生息するハゼ科魚類であり,ロシアからタイとフィリピンにかけての東アジアと東南アジアに分布する(Chen and Miller, 2014).世界で約60種が知られており,国内からは約18種が確認されている(平嶋,2018). 2019年4月20日に鹿児島市喜入中名町の鹿児島湾に注ぐ小河川から6個体のルリヨシノボリRhinogobius mizunoi Suzuki, Shibukawa and Aizawa, 2017が採集された.薩摩半島の鹿児島湾に面する河川におけるルリヨシノボリの記録はこれまでに甲突川水系から知られているのみであり(松沼・本村,2013),これら標本は本種の薩摩半島における新たな分布の記録かつ南限を更新する記録となる.また,鹿児島県においては生息地が飛び地状で限られることから準絶滅危惧種に指定されており(米沢・四宮,2016),保全上重要であると考えられるため,ここに報告する.