鹿児島県は南北に広い南北に広い土地を有し ている.そのために多種多様な生態系がみられ, 多くの生物が生息している.その中で陸産貝類は 移動性が乏しいために,離島などでは独自の気候 に適応して進化した固有種が多くみられ,様々な 調査が行われてきた.しかしながら,鹿児島本島 では離島に比べて調査例が少ない.そこで,本研 究では鹿児島本島の薩摩半島鹿児島湾側に焦点を 当て,主な調査地を鹿児島市,および姶良市とし, 陸産貝類の分布調査を行い,それぞれの調査地で の特徴,類似点,相違点を明らかにすることを目 的として行った.本調査は,2019 年 2 月から 2020 年 12 月にかけて 12 地点でサンプリング調 査を行った.採取方法は主として見つけ取りをそ れぞれ調査地で合計 1 時間程度行った.また,微 小な貝類には見つけ取りでの採取が困難なため, 調査地の土壌約 500 ml を研究室に持ち帰り,乾 燥機で乾燥させて後,ふるいにかけ,双眼実体顕 微鏡を用いて分別した.その後,種同定を行いサ ンプルとして保存した.その後他地点との類似性 を明らかにするためにサンプルをもとに類似度指 数を算出し,算出した類似度指数を使いクラス ター分析を行い,デンドログラムを作成した.調 査の結果,鹿児島県薩摩半島鹿児島湾側の 12 地 点の調査で計 2 目 10 科 19 属 19 種 1453 個体を採 取することができた.愛宕神社,南方神社,多賀 神社の 3 か所では 10 種もの陸産貝類採取するこ とができたが,七社神社と宮坂神社では 4 種しか 採取することができなった.また,類似度から求 めたデンドログラムの結果,大きく 3 つのグルー プに採取地がわかれた.鹿児島県薩摩半島鹿児島 湾側を調査地とした今回の調査では,これらの場 所の優占種は,アズキガイとヤマクルマであると 考えられる.また,各地点に出現したレッドデー タブックに記載されている種についてのデータで は,南方神社が著しく高い値を示しており,陸産 貝類の希少種が多く生息していることを示してい た.それぞれの調査地点での類似度をもとに作成 したデンドログラムはおおよそ採取地が近い者同 士でグループ化がされていた.その中でも,宮坂 神社が離れている場所であるのにもかかわらず, 正一位稲荷大明神とグループ化されていること は,宮坂神社で採取された合計個体数と合計種数 が少なったためと考えられる.これらの調査結果 をより信頼度が高いものとするために,より細か い調査が必要になってくると考えられる.

鹿児島県薩摩半島鹿児島湾側における陸産貝類の分布(植木拓郎・冨山清升)