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奄美大島から得られたサバ科魚類ニジョウサバ

畑 晴陵・前川隆則・中江雅典・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ニジョウサバGrammatorcynus bilineatus (Rüppell, 1836)はスズキ目サバ科ニジョウサバ属に属し,紅海からトケラウ,日本にかけてのインド・太平洋に広く分布する(Collette and Nauen, 1983; Collette and Gills, 1992).本種は沖縄県において多獲され,食用に供されるが,腐りやすいことから,沖縄県においては「くさらー」と称される(Kishinouye, 1923;具志堅,1972; Collette and Nauen, 1983;中村,1997).しかし,ニジョウサバは鹿児島県以北では稀であり,これまで鹿児島県内において,薩摩半島西岸,甑列島下甑島,および大隅諸島屋久島からのみ記録されていた(畑ほか,2011;Motomura and Harazaki, 2017).

2017年5月15日にニジョウサバと同定される1個体が奄美大島において採集された.本標本は奄美群島における本種の標本に基づく初めての記録であるため,ここに報告する.