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鹿児島県から得られたエボシダイ科魚類エボシダイ

畑 晴陵・伊東正英・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

エボシダイ科魚類は鋤骨,口蓋骨および基鰓 骨に細かな歯を有すること,尾柄部が側扁し側面 に隆起を欠き,尾柄高が体長の 5% 以上であるこ と,背鰭と臀鰭の軟条数はともに 15 以上である こと,体側鱗が円鱗であることなどで特徴づけら れ る(Haedrich, 1967; Haedrich and Horn, 1972; Last, 2001).本科魚類は日本からはオキメダイ Cubiceps baxteri McCulloch, 1923,ユメオキメダ イ C. paradoxus Butler, 1979,ホソオキメダイ C. pauciradiatus Günther, 1872,ボウズコンニャク C. whiteleggii (Waite, 1894), エ ボ シ ダ イ Nomeus gronovii (Gmelin, 1789), ク ラ ゲ ウ オ Psenes arafurensis Günther, 1889, ス ジ ハ ナ ビ ラ ウ オ P. cyanophrys Valenciennes, 1883,シマハナビラウオ P. maculatus Lütken, 1880,およびハナビラウオ P. pellucidus Lütken, 1880 の 9 種の分布が確認されて いる(中坊・土居内,2013).そのうちエボシダ イの鹿児島県における記録は乏しく,長島列島か らのもののみに限られていた(並田,1977;中坊・ 土居内,2013). 2016 年 5 月 18 日に薩摩半島西岸から 1 個体の エボシダイが採集された.本標本は本種の鹿児島 県薩摩半島における初めての記録ならびに鹿児島 県における標本に基づく初めての記録となるた め,ここに報告する.