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屋久島から得られたタイ科魚類タイワンダイ

畑 晴陵・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

タイワンダイ Argyrops bleekeri Oshima, 1927 は スズキ目タイ科タイワンダイ属に属する沿岸性魚 類で,日本からインドネシアにかけての西太平洋 に分布する(林・萩原,2013).本種は,琉球列 島において多数が漁獲され,食用魚として重要で あり(新垣・吉野,1984;三浦,2012),生態に 関する研究も多くなされている(例えば,上原ほ か,2013).沖縄県内では “ よなばるまじく ” と 称され(赤崎,1997;三浦,2012),与那原町の 町魚に指定されたほか(与那原町,2015),沖縄 に伝わる民話にもその名を現すなど(与那原町教 育委員会文化財審議委員会,2006),身近な魚種 である.しかし,琉球列島よりも北の海域におけ る本種の記録は極めて少なく,遠州灘,和歌山県, 高知県,薩摩半島西岸,および種子島東岸からの 記録に限られていた(赤崎,1962;岡本,1998; 黒潮生物研究財団,2005;林・萩原,2013;畑ほ か,2015). 2016 年 11 月 21 日に屋久島沖から 1 個体のタ イワンダイが採集された.本標本は屋久島におけ る本種の標本に基づく初めての記録となるため, ここに報告する.