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トカラ列島中之島から得られた琉球列島初記録のハタ科サクラダイ

吉田朋弘・高山真由美・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

サクラダイ属 Sacura は背鰭が 10 棘 14–18 軟条, 臀鰭が 3 棘 7 軟条,胸鰭 16–18 軟条,標準体長に 対する体高の割合が 41–50% であること,第 1 鰓 弓下枝の鰓耙数が 22–30 であることなどで特徴づ けられる(Heemstra and Randall, 1979).本属魚類 は S. boulengeri (Heemstra, 1973), サ ク ラ ダ イ S. margaritacea (Hilgendorf, 1879),S. speciosa Heemstra and Randall, 1979, お よ び S. parva Heemstra and Randall, 1979 の 4 有効種が報告され ている(Heemstra and Randall, 1979). そのうち,日本からはサクラダイのみが報告 されている(瀬能,2013).これまでサクラダイは, 国内において伊豆諸島,小笠原諸島,兵庫県から 九州北西岸にかけての日本海沿岸,茨城県,相模 湾から宮崎県の太平洋沿岸,鹿児島県本土(鹿児 島湾,薩摩半島西側)から記録されていた(瀬能, 2013). 2016 年 11–12 月にトカラ列島中之島において, サクラダイが 2 個体採集された.本標本は本種の 琉球列島からの初記録であるため,ここに報告す る.