アナゴ科クロアナゴ属魚類 Conger は上顎と下 顎の歯は 1–2 列であり,外側の列の歯は鋭く尖る こと,上唇には深い溝が発達すること,下顎が長 く,閉口時,前上顎骨歯が露出しないことなどに よって特徴づけられ(Kanazawa, 1958; Asano, 1962; Smith, 1999),日本からはキリアナゴ C. cinereus Rüppell, 1830,ダイナンアナゴ C. erebennus (Jordan and Snyder, 1901),クロアナゴ C. jordani Kanazawa, 1958,およびマアナゴ C. myriaster (Brevoort, 1856) の 4 種が知られている(波戸岡,2013a).鹿児島 県においてはこれらのうち全ての種の分布が確認 されているが(Asano, 1962;今井・中原,1969; 山口・森永,1992;山口,1993;財団法人鹿児島 市水族館公社,2008; Motomura et al., 2010;波戸岡, 2013a, b;日比野,2014;鏑木,2016; Motomura and Harazaki, 2017),キリアナゴの県内における 記録はトカラ列島以南からのものに限られていた (Kamohara, 1954;波戸岡,2013a). 2013 年 1 月 6 日に南さつま市坊津町野間池沖 に設置された定置網により,1 個体のキリアナゴ が採集された.本標本は九州沿岸における本種の 初めての記録となるため,ここに報告する.

鹿児島県坊津町野間池から得られた九州沿岸初記録のキリアナゴ(畑晴陵・西田和記・本村浩之)