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鹿児島県北部から得られたサバ科魚類グルクマ

畑 晴陵・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

サバ科 Scombridae は世界で 15 属 49 種が知ら れており(Collette and Nauen, 1983),日本近海に は 11 属 21 種が分布する(中坊・土居内,2013). グルクマ属 Rastrelliger は世界で 3 種が有効種と し て 認 め ら れ て お り(Matsui, 1967; Collette and Nauen, 1983; Muto et al., 2015),そのうち,日本か らはグルクマ Rastrelliger kanagurta (Cuvier, 1816) の 1 種 の み が 知 ら れ て い る( 中 坊・ 土 居 内, 2013).グルクマは沖縄県においては刺し網や定 置網を用いて大量に漁獲され,頻繁に利用される が(本永,1991;中村,1997;三浦,2012),こ れまで鹿児島県内においては奄美大島,種子島, 屋久島,および南さつま市笠沙町からのみ報告さ れていた(岸上,1915;市川ほか,1992;畑ほか, 2015). 2015 年 11 月 20 日に鹿児島県肝付町内之浦湾 から,12 月 9 日に下甑島吹切沖からそれぞれ 1 個体,また,12 月 21 日に鹿児島湾湾口部から 3 個体の計 5 個体のグルクマが採集された.これら は鹿児島県本土太平洋岸と甑列島,および鹿児島 湾における本種の標本に基づく初めての記録であ るため,ここに報告する.