キンメダイ目イットウダイ科魚類は,三大洋 の 熱 帯 か ら 温 帯 域 に 広 く 分 布 す る(Randall, 1998).本科魚類は体が側偏し,比較的硬い鱗に 被われる,目が大きい,腹鰭が胸鰭の下方にあり, 1 棘 5–8 軟条,背鰭の棘部と軟条部の間に欠刻が ある,臀鰭が 4 棘 7–16 軟条,および体色が基本 的に赤色であることによって特徴づけられる(池 田・中坊,2015).本科魚類は,これまで日本か らイットウダイ亜科 Holocentrinae 2 属 19 種,ア カマツカサ亜科 Myripristinae 4 属 21 種が報告さ れており(林,2013),前者は前鰓蓋骨隅角部に 強い棘をもつこと(後者はもたない)と臀鰭軟条 数が 7–10 であること(10 以上)から後者と識別 される(林,2013). 琉球列島は大隅諸島から八重山諸島までの南 北約 1,000 km からなり,同海域には熱帯性・亜 熱帯性から温帯性のさまざまな魚類が分布してお り,同海域が分布の北限あるいは南限となってい る種もが多い.そのため,琉球列島におけるイッ トウダイ科魚類を明らかにすることは,魚類の多 様性を知る上できわめて重要である. イットウダイ科魚類は形態的に酷似した種が 多く,写真のみに基づく正確な種同定を行うこと が困難であり,同定には標本の調査が必要である. しかし,これまで琉球列島における標本に基づい たイットウダイ科魚類の包括的な分布調査は行わ れていない. そこで,本研究では大隅諸島から八重山諸島 までの琉球列島を調査地として,イットウダイ科 魚類相を調査した.886 標本に基づいた正確な種 の同定を行うとともに,今後の分類学的研究に寄 与するために各種の記載を行った.

琉球列島におけるイットウダイ科魚類相(江口慶輔・本村浩之)