造礁サンゴは夏期の満月前後に産卵すること がよく知られ,サンゴ礁域では産卵に関する多く の研究や観察が行われている.特に初夏のミドリ イシ類の一斉産卵については,高い精度で産卵予 測が可能なほどの観察実績があり,奄美大島や沖 縄県などでも一般の方を対象とした観察会が行わ れている. 非サンゴ礁域である高緯度海域に分布する造 礁サンゴ群集においても,和歌山県串本(御崎, 1989–1990, 1994–2001, 2003–2006)や熊本県天草 (Nozawa et al., 2006)を含む各海域で多くの研究 が行われている.特に高知県大月町では長期に渡 る観察で得られたイシサンゴ類の産卵パターンや 産 卵 時 刻 に つ い て の 詳 細 な 報 告( 目 崎 ほ か, 2007)がある. 一方,鹿児島県本土周辺海域においては,こ れまで産卵に関する研究はほとんど行われておら ず,かごしま水族館に隣接するイルカ水路に移植 したエンタクミドリイシの卵の成熟についての報 告(田畑,2013)があるのみである. かごしま水族館では,鹿児島湾における造礁 サンゴ類の産卵を確認することを目的として, 2014 年 7–8 月に 12 日間の夜間潜水を行い,その 内 6 日間で 4 種の産卵を記録した.本記録は鹿児 島湾での造礁サンゴの産卵としては初めてのもの である.

鹿児島湾で初めて記録された造礁サンゴ類 4 種の産卵(出羽尚子・土田洋之・西田和記・山田守彦・広瀬純・ 八巻鮎太・築地新光子・東峯万葉)