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薩南諸島広域から得られたヒシダイ科魚類ヒシダイ Antigonia capros

畑 晴陵・高山真由美・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ヒシダイ科は強く側扁した円盤状の体を有す ること,体背縁が尖り,腹縁はやや丸みを帯びる こと,体高が頭長の 2 倍以上であること,体長が 頭長の 2.4–3.0 倍であること,背鰭と臀鰭軟条が すべて分枝することなどの特徴をもち(Heemstra, 1999; 稲 田,2002a), 日 本 か ら は ヒ シ ダ イ Antigonia capros Lowe, 1843, ベ ニ ヒ シ ダ イ A. rubescens (Günther, 1860),およびミナミヒシダイA. rubicunda Ogilby, 1910 の 3 種が知られている(中 坊・甲斐,2013). ヒシダイはこれまで鹿児島県内において,大 隅諸島馬毛島沖およびトカラ列島近海から仔魚の 報告があるのみであった(中原,1962).2012 年 から 2015 年にかけて実施された鹿児島県におけ る魚類相調査の過程で,種子島,トカラ列島,与 論島からヒシダイと同定される計 9 個体が採集さ れた.これらの標本は鹿児島県ならびに薩南諸島 における成魚の標本に基づく本種の初めての記録 となるため,ここに報告する.