桜島は鹿児島県鹿児島市にある活火山で, 現在も活発な活動を続けている.桜島の海岸系に は溶岩に由来する転石海岸や扇状地由来の海岸が みられる.過去の研究おいて稲留・山本(2005) のように,溶岩の流出年代の違いやこれによる転 石の性質の違いが貝類相にどのような影響を与え ているかを調査したものがあるが,この調査では 桜島北西部など未調査の箇所があった.そこで本 研究では,桜島全体の海岸を調査し,後鰓類相お よび二枚貝類相の生息現況を明らかにすることを 目的とした. 調査は桜島の海岸に 8 ヶ所の調査地点を設置し て行った.採取は大潮の干潮時に,見付け取りに より行った.採取した後鰓類・二枚貝類は必要な 処理を行った後に同定,データ処理をし,まとめ た. データをまとめた結果,後鰓類は桜島の 8 つの 海岸から合計 25 種が得られた.最も多くの種が 出現したのは桜島西部,最も少なかったのは桜島 北東部,南東部の地点であった.後鰓類は同種が 複数の地点から出現することが少なく,複数の地 点から出現したのは 25 種中 3 種であった.二枚 貝類は桜島の 8 つの海岸から合計 25 種が確認さ れた.最も多くの種が出現したのは桜島北部の地 点で,最も少なかったのは桜島東部の地点であっ た.後鰓類よりも複数の地点でみつかる種が多 かったが,1 地点からのみ出現した種もいた. 今回の調査の結果から,後鰓類および二枚貝類 については以下のことが考えられる.後鰓類につ いては 8 地点中 1 地点からしか出現しなかった種 が多くみられたが,これらの種の分布様式が狭い と結論付けることは難しいと考えられた.また, 出現したクロシタナシウミウシのなかには今後の 研究により,その詳細が明らかになると考えられ る種が含まれていた.二枚貝類についてはカリガ ネエガイ Barbatia (Savignyarca) virescens が全地点 から出現し,過去の研究と併せて考えると本種は 桜島において最も一般的な種であるといえる.

桜島産後鰓類および二枚貝類の現況調査(若林佑樹・木村喬祐・冨山清升)