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沖永良部島における植物相の概要と目録

新納忠人

Abstract / Introduction / Summary:

この植物目録は筆者が 10 数年にわたって撮り ためた島内の植物写真を一覧表にまとめたもので ある.シダ植物を含め,合計 590 種をリストアッ プした(表 1).大野照好先生が発表された「沖 永良部島の植物」(大野,1971)には 822 種が収 められているため,本目録掲載種はそれのおよそ 70% ということになる.特に木本については筆 者では同定が難しく,漏れているのが多い. 沖永良部島の植物相の特徴は,島が南西諸島 のほぼ中央に位置していることから,分布の南限 種と北限種がせめぎあっていることである.北限 種の方が多いが,このような島で植物を観ている と,南限を引き下げたり,北限を引き上げたり, ときには分布の空白を埋めたりすることができる のが楽しい.また,先行の目録と比べたとき,水 生の植物が著しく減っているのに気づかされる. 昭和 40 年代の減反政策で,水田がほぼ 100% キ ビ畑に転換されたからである. もとより,植物の専門家でもない筆者がカメ ラ片手に気まぐれに撮った写真のリストなので同 定の誤りや勘違いが多々あろうかとおもいため らっていたが,鮫島正道先生の追従もあったので 敢えて発表する次第である.大方のご叱正をお願 いしたい.本報告の図表は中村麻理子さんに編集 して頂いた.ここにお礼申し上げる.