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口之島から採集されたヤイトムシ目の1種

山﨑健史

Abstract / Introduction / Summary:

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ヤイトムシ目は,クモ網に属するグループで, 世界から 3 科約 180 種が記録されている.主に世 界の熱帯・亜熱帯地域に広く分布し,日本では奄 美以南にダイトウヤイトムシ Apozomus daitoensis (Shimojana), サ ウ ダ ー ヤ イ ト ム シ A. sauteri (Kraepelin), ウ デ ナ ガ ヤ イ ト ム シ Bamazomus siamensis (Hansen) と 小 笠 原 諸 島 に サ ワ ダ ム シ Orientzomus sawadai (Kishida) の 3 属 4 種が知られ て い る(Sekiguchi & Yamasaki 1972;Yamasaki & Shimojana 1974;Shimojana 1981;Cokendolpher 1988;Harvey 1992;Cokendolpher & Tsurusaki 1993).本グループの種は洞窟や落葉層に生息し, 移動能力は低いとされているため,台東諸島や小 笠原諸島などの海洋島への移入方法よく分かって いないが,園芸植物の輸出入や海の漂流物によっ て移入可能だと考えられている(Cokendolpher & Tsurusaki 1993). 口之島で行なったアリ類調査の際,落葉層中 からヤイトムシ目の 1 種を採集することができ た.標本は幼体だったため属以下の同定は出来な かったが,本グループの日本における分布北限が 大幅に北上したことは南西諸島の生物地理学上で 非常に重要な記録であるため,ここで報告する.