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鹿児島県笠沙沿岸から得られたアイゴ科魚類 ゴマアイゴ Siganus guttatus の北限記録

伊東正英・松沼瑞樹・岩坪洸樹・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

スズキ目ニザダイ亜目アイゴ科(Perciformes: Acanthuroiei: Siganidae)はアイゴ属 Siganus のみ で構成され,インド・西部太平洋から 28 有効種 が認められている(Woodland, 1990; Randall and Kulbicki, 2005).このうち,日本近海からは 12 種 が知られている(島田,2000). ゴマアイゴ Siganus guttatus (Bloch, 1787) は,国 内において沖縄島以南では普通種であり,本種の 分布の北限記録はトカラ列島の口之島であると考 えられている(坂井ほか,2005, 2009).また,ゴ マアイゴの分布の北限が鹿児島県であることか ら,米沢(2003)は本種を同県における分布特性 上重要な種に指定した. 2010 年 11 月 11 日に鹿児島県南さつま市笠沙 町黒瀬港沖の小型定置網にゴマアイゴと同定され るアイゴ科魚類の成魚 1 個体が採集された.この 標本は九州本土沿岸における標本に基づいた本種 の初記録であり,同時に本種の分布北限を更新す る記録となるため,ここに報告する.