/ 045-019

鹿児島県沖永良部島から得られた北限記録のヒラウミタケハゼおよび本種の生態学的新知見

和田英敏・萩原清司・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ハゼ科ウミショウブハゼ属は,世界で17種が有効とされており(Larson, 1990; Greenfield and Randall, 2004; Fricke et al., 2018),日本からは9種が知られている(明仁ほか,2013). 鹿児島県奄美群島の沖永良部島における魚類相調査の過程で,2個体のウミショウブハゼ属魚類の標本が得られた.これらの標本は計数形質や体各部の特徴からヒラウミタケハゼPleurosicya coerulea Larson, 1990に同定された.本種はインド・西太平洋の亜熱帯から熱帯域に広く分布し(Larson, 1990; Allen and Erdmann, 2012; 明仁ほか,2013),日本国内では沖縄諸島の伊江島,慶良間諸島の屋嘉比島,および八重山諸島の石垣島と西表島からのみ記録されていた(島田,1996;明仁ほか,2013).したがって,沖永良部島産の標本はヒラウミタケハゼの北限記録かつ薩南諸島における初記録となるため,ここに報告する.